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石原 正博; 塙 悟史; 曽我部 敏明; 橘 幸男; 伊与久 達夫
Materials Science Research International, 10(1), p.65 - 70, 2004/04
2D-C/Cコンポジットの曲げ強度予測法について、実験及び解析的に検討を行った。実験的な検討では、3点曲げ強度を実測し、また破壊後の試験片のSEM観察から基本的な破壊様式を検討した。破面観察の結果、引張応力下での繊維の延びによる破壊様式、圧縮応力下での繊維の座屈による破壊様式及びせん断応力下での繊維間のスライディングによる破壊様式が観察された。解析的な検討では、セラミックス材で広く用いられているワイブル強度理論からの強度予測を検討するとともに、基本的な破壊モードを考慮し競合リスクモデルを用いた強度予測法を提案し、これによる強度予測を検討した。検討の結果、ワイブル強度理論からの予測は、実測値の2倍以上の強度予測結果となり、異方性の高い繊維強化材料には応用できないことがわかった。一方、提案方法では、実測値とほぼ一致する強度予測を示すことが明らかとなった。さらに、提案方法でパラメータ解析を実施したところ、圧縮応力下での破壊様式が曲げ破壊を支配していることが明らかとなった。
高橋 常夫*; 石原 正博; 馬場 信一; 荒井 長利; 林 君夫; 小西 隆志*
JAERI-Research 2001-005, 62 Pages, 2001/03
微粒等方性黒鉛(平均粒径20m)を基準試料とし粗粒含有率(平均粒径125m)の異なる黒鉛材料を用いて曲げ強度試験及び破壊靱性試験を行い、粗粒含有率が強度及び靱性に与える影響を検討した。また、微細組織に基づく強度分布予測手法の曲げ試験結果への適用性を検討した。曲げ強度は、粗粒含有率0%と比較して含有率40%では平均曲げ強度の増加と強度のばらつきの減少が認められた。画像解析からもとめた気孔径分布の統計結果との関係においては、粗粒含有率の増加に伴う平均気孔間距離の増加及び大径気孔部分における気孔径分散と強度分散との正の相関関係が認められた。破壊靱性値に関しては、応力ひずみ線図の非線形応答開始点と最大荷重点における破壊靱性値の検討を行った。き裂進展開始荷重に基づく破壊靱性値は、粗粒黒鉛を含有することにより増加するものの含有率(20%,40%)による違いは認められず、低い含有率で破壊靱性値が飽和する傾向を示した。一方、最大荷重に基づく破壊靱性値は、粗粒黒鉛の含有率が増すにつれて増加し、含有率による違いが認められた。さらに、単軸応力状態下で提案されている気孔径分布を考慮した確率論的強度分布予測モデルを曲げ強度試験結果に適用し、実験結果をおおむね一致する結果を得た。
二川 正敏; 涌井 隆*; 井岡 郁夫; 衛藤 基邦
Journal of the European Ceramic Society, 20(8), p.1135 - 1143, 2000/05
被引用回数:5 パーセンタイル:44.86(Materials Science, Ceramics)材料の耐食性は腐食環境と接する界面の特性に支配される。耐食材料として期待される炭化ケイ素系セラミック、高ケイ素鉄合金は脆性を示すため、腐食表層部の特性が腐食後強度に大きく影響する。そこで、腐食表層の力学特性を微小押込み試験に有限要素法接触解析を融合させた手法により評価し、腐食表面に対する押込み荷重曲線の挙動と腐食様相、腐食後強度との相関を明らかにした。腐食環境はISプロセス工程内の沸騰濃硫酸であり、各種セラミック(Si-SiC, SiC, SiN, AlO, ZrO)曲げ試験片を最大1000時間浸漬した。腐食後強化を示したSiC、Si-SiC試験片表層には防食皮膜(シリカ)の形成が確認された。また、腐食後劣化を示したSiN, AlO, ZrO表層には、多孔質状の腐食層が形成された。これらの腐食形態の差異は微小押し込み試験から得られる押込み荷重-深さ曲線に影響し、その傾向を解析的に再現すると共に表層部の材料定数を決定した。さらに、押込み荷重-深さ曲線から評価した腐食層厚さと腐食前の破壊靱性値を用いることによって、腐食後強度劣化を評価できることを示した。
高橋 常夫*; 石原 正博; 馬場 信一; 林 君夫; 荒井 長利; 小西 隆志*
Proceedings of 1st World Conference of Carbon (EUROCARBON 2000), 1, p.397 - 400, 2000/00
高温工学試験研究炉(HTTR)の炉心構造材料にも用いられているIG-11黒鉛を基準試料として粗粒含有率の異なる試料を用いた曲げ強度試験を行うとともに画像解析による気孔寸法等の微細組織の観察を行い、強度分布と微細組織の関係について検討を行った。強度試験結果からは、粗粒含有率を増加することで平均曲げ強度の増加と強度のばらつきの減少することが認められた。また、微細組織の観察結果からは、粗粒含有率の増加により大径気孔数の減少と気孔径分布における大径気孔部分での分散の減少が認められた。これらを受けて粗粒含有黒鉛の強度特性について大径の気孔数及び分散に基づく考察を行った。この試験結果に対し、微小き裂の破壊靱性値及び気孔径分布を考慮した確率論的強度評価モデルを適用した。その結果、粗粒含有率に対して評価と試験結果に大きな違いが見られた。評価モデルの改良を要することが示唆された。
工藤 久明; 笠井 昇; 貴家 恒男; 瀬口 忠男
Irradiation of Polymers; Fundamentals and Technological Applications (ACS Symp. Series 620), 0, p.313 - 322, 1996/00
核融合炉用超電導磁石の有機絶縁材料として用いられる繊維強化樹脂のガンマ線照射に対する耐放射線性の照射温度依存性を調べた。77K照射では、室温照射に比べて、3点曲げ試験による曲げ強度の低下が著しく少なく、曲げ強度を初期の1/2にする線量は室温照射の25倍であった。照射による分解ガスを分析すると、水素の発生量は余り変わらなかったが、CO、CO、メタンの発生量が77Kでは著しく少なくなっていた。水素原子の引き抜き反応はC-H結合が77Kでも動けるために照射温度依存性が小さく、CO、COが放出される反応は主鎖や側鎖の分子運動が77Kでは抑制されるために照射温度依存性があると解釈された。
宇賀地 弘和; 奥 達雄*; 石山 新太郎; 衛藤 基邦
日本機械学会論文集,A, 62(593), p.10 - 17, 1996/00
原子力分野においてC/Cコンボジット材料を構造材として用いる場合には、その機械的・熱的特性を評価することが非常に重要である。しかし、C/Cコンポジットの耐中性子照射損傷性に関するデータが乏しいため、その評価は困難である。本研究では、繊維の異なる3種類のフェルト系C/Cコンポジット(CC-312、CX2002UおよびMCI)を用いて、中性子照射量が最大210n/mおよび照射温度が最大1200Cの条件で中性子照射試験を行い、照射による機械的性質の変化と、材料の組成および製造法の違いとの関係について評価した。その結果、繊維材の性状と照射効果との間の関係を示唆することができた。
二川 正敏; 菊地 賢司; 武藤 康; 柴田 碧*
J. Eur. Ceram. Soc., 11, p.417 - 424, 1993/00
被引用回数:4 パーセンタイル:43.73(Materials Science, Ceramics)HTRに用いられる構造用黒鉛材の衝撃・疲労強度及び衝撃強度について明らかにしておくことは、耐震設計上重要である。そこで、原子炉構造用黒鉛IG-11及びPGXについて衝撃曲げ強度及び衝撃曲げ疲労試験を実施し、準静的荷重負荷時との比較を行った。また、衝撃エネルギーと発生荷重、応力の関係について検討するために、Hertzの接触理論を考慮した梁モデルによる衝撃応答解析を実施した。主な結論を以下に示す。(1)Hertzの接触理論を考慮した梁モデルは、黒鉛の衝撃応答挙動を良く表わす。(2)歪速度5 1/sまでは、曲げ強度の歪速度依存性は認められなかった。(3)試験片寸法及び黒鉛の種類によらず、衝撃疲労強度は通常の準静的な疲労強度に比し低下する。
宇田川 昂
高分子論文集, 49(6), p.551 - 553, 1992/06
被引用回数:2 パーセンタイル:21.32(Polymer Science)繊維強化プラスチックの放射線劣化に及ぼす繊維の影響を2MVの電子線を用いて調べた。耐放射線性は、母材にビスフェノールA系エポキシを用いた積層板の三点曲げ強度から評価した。カーボン繊維積層板はガラス繊維積層板より、かなり高い耐放射線性を示した。カーボン繊維とガラス繊維充填材の間にある違いを調べるため、母材としてポリエチレンを用いてモデル化した積層板の吸収線量とゲル分率の関係を調べた。ゲルの生成はカーボン繊維を充填した場合に著しく遅かった。この結果から、カーボン繊維には母材樹脂に対する放射線保護作用があり、これが炭素繊維強化プラスチックに高い耐放射線性を与える主な原因となっていることが分った。
二川 正敏; 菊地 賢司; 武藤 康; 柴田 碧*
材料, 40(449), p.178 - 184, 1991/02
高温ガス炉の黒鉛構造物は地震時に衝撃力を繰り返し受ける。従って、黒鉛材の衝撃強度及び繰り返し衝撃疲労特性を明らかにしておくことは耐震設計上重要である。そこで、試験片寸法の異なる粗粒準等方性黒鉛PGXと微粒等方性黒鉛IG-11に対して衝撃荷重及び準静的荷重負荷条件下での曲げ強度並びに疲労強度試験を実施し、両荷重条件による強度の差異について検討した。また衝撃エネルギー、衝撃力、衝撃応力の関係について調べるために、接触挙動を考慮した梁モデルによる衝撃応力の解析を行なった。得られた主な結果は次の通りである。(1)Hertzの接触理論を適用した梁モデルは衝撃挙動を良く再現できる。(2)ひずみ速度が5/s以内の範囲では黒鉛の曲げ強度に対するひずみ速度依存性は認められなかった。(3)黒鉛の衝撃疲労強度は通常の疲労強度より低下する。
平出 哲也*; 武田 展雄*; 宇田川 昂; 貴家 恒男; 瀬口 忠男; 浜 義昌*
Advanced Composite Materials, 1(4), p.321 - 331, 1991/00
炭素繊維強化樹脂(CFRP)の宇宙での構造材料としての使用を考え、曲げ強度と層間破壊靱性を高温・室温・低温で測定し、その照射効果を調べた。120MGyまで従来型も高靱性型も高い曲げ強度を示す。しかし曲げ試験の破壊様式が複雑であり破壊の仕方によって強度が変わると考えられる。そこで層間破壊靱性によって評価を試みる。高靱性型は見かけ上非常に高い値を示すがこれは繊維の切断を結果的に見ていることとなり真の値を測定するのはむづかしい。従来型、高靱性型ともに初期においてはほぼ等しい靱性を示すと考えられるが高靱性型は樹脂が20~30MGyで劣化している可能性がある。従来型は60MGyまで靱性の低下は認められない。
萩原 幸; 宇田川 昂; 河西 俊一; 江草 茂則; 武田 展雄
Journal of Nuclear Materials, 133-134, p.810 - 814, 1985/00
被引用回数:4 パーセンタイル:54.56(Materials Science, Multidisciplinary)この報告は耐放射線性の優れた有機複合材料を得る基礎研究として、室温照射(電子線3MeV,1.0Mrad/hr)210Mradまでの劣化挙動を3点曲げ試験、剪断試験、電子顕微鏡観察等により考察したものである。複合材料、ガラス/di-glyciohylether bisphenol-Aは少線量で強度低下を起し、マトリックス相に大小多数のボイド生成が認められた。劣化はマトリックスの放射線分解によると考えられる。ガラス/TGDDMでは3000Mradで強度が急激に低下した。電顕観察から充てん材-マトリックス界面の剥離が劣化の原因であることがわかった。なお、カーボン/TGDDMでは210Mrad照射後も強度の低下はみられず、また、ボイド生成、界面剥離等も認められなかった。以上の事実から、複合材料の耐放射線化には、耐放射線性の樹脂の選択と、界面の耐放射線化が重要であることを述べる。
松尾 秀人; 斎藤 保
Journal of Nuclear Science and Technology, 22(4), p.313 - 319, 1985/00
被引用回数:2 パーセンタイル:37.51(Nuclear Science & Technology)実用炉で、220~400Cの温度領域で二酸化炭素雰囲気で中性子照射した原子炉級黒鉛材料の曲げ強度、圧縮強度、およびヤング率を測定した。曲げおよび圧縮強度は2.310n/cm、ヤング率は8.310n/cmの熱中性子照射量まで測定した。中性子照射により曲げ強度、圧縮強度、およびヤング率は増加した。曲げ強度および圧縮強度の変化はすべての照射温度領域でほとんど同じであったが、ヤング率の変化は照射温度によって異なる結果が得られた。曲げおよび圧縮強度()はヤング率(E)と密接な関係があり、それらは=KEで表されることがわかった。ここでnは定数であり、曲げ強度、圧縮強度、ならびにそれらの測定方向によって異なった値が得られた。
依田 真一; 井岡 郁夫; 奥 達雄; 梅川 壮吉*
JAERI-M 82-089, 23 Pages, 1982/07
多目的高温ガス炉炉心部の黒鉛材料は、冷却ヘリウムガス中に含まれる微量O、HO、COなどの不純物ガスにより腐食され、その物理的機械的性質が劣化する。そこで、IG-11黒鉛に高温で熱的安定性に優れたTiCを表面接覆し、その腐食雰囲気中での耐食性と機械的性質について調べ検討した。TiC被覆により腐食環境下(大気中、873K)における腐食速度は、約1/3に減少し、IG-11黒鉛材料の耐食性を向上させることができた。しかしながら、3~4時間の腐食においては、TiC被覆層の剥離が生じた。また腐食後のヤング率は、同時間腐食後の非被覆黒鉛に比べ、その減少量は約半分に抑制された。曲げ強度においては、約4時間腐食後までほとんど強度劣化は認められず、その後はIG-11黒鉛材料と同様な傾向で減少した。これらの結果より、TiC被覆は、黒鉛材料の耐食性の向上に、極めて効果的であることが明らかとなった。
小川 清行; 福田 幸朔; 岩本 多實
JAERI-M 8552, 19 Pages, 1979/11
熱分解SiCに対し焼鈍による強度と組織の変化を実験的に調べた。温度1200C-1600Cで、最大1246時間まで焼鈍を行った後、三点曲げ法によりヤング率と曲げ強度を室温で測定した。さらに、試料の密度と結晶子の大きさを測定するとともに、微細組織および破面の観察を行った。ヤング率と強度は焼鈍時間とともに増加の傾向を示したが、1600Cの場合にはその後、減少した。また、最初、樹枝状であった組織が高温ではグレン状に変化するのが観察され、これに伴ない強度も減少した。この組織と強度との関連について定性的説明を試みた。
小川 清行; 福田 幸朔; 岩本 多實
J.Mater.Sci., 11(7), p.1362 - 1365, 1976/07
被引用回数:3熱分解SiC試料を三点曲げ法によるヤング率と曲げ強さを、1600Cで焼鈍時間を変化させて測定を行った。その結果260時間焼鈍附近で極大値があり、以後は低減がみられる。この強度変化を試験片の顕微鏡組織と破面と対応させたところ、極大値を境としてある程度粒界割れから粒内割れへの変化がみられ、また小さなcleavage stepが後者の破面ではみられる。これから強度は微細組織によって影響されることがわかった。